島から、一八六〇年
T 女が船着き場で濯ぎ洗いしたある日 入江の冷えが腕から伝い上り その生涯に入りこんだ。 涙は凍りついてめがねとなった。 島はみずから草を掴んで身を起し 鰯の旗が水底深く揺らめいた。