四月と沈黙

春は不毛に横たわる。
ビロードの昏さを秘めた溝は
わたしの傍をうねり過ぎ
映像ひとつ見せぬ。

光あるものは ただ
黄色い花叢。

みずからの影に運ばれるわたしは
黒いケースにおさまった
ヴァイオリンそのもの。

わたしのいいたいことが ただひとつ
手の届かぬ距離で微光を放つ
質屋に置き残された
あの 銀器さながら。


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